「1000円、5000円、10000円」面接

面接官「 一度の質問だけで私が1000円、5000円、10000円のどれを持っているか当てなさい。 ただし質問へは『はい』か『いいえ』でしか答えないものとする。 」

たまたま目にした2ちゃんのスレ。ちょっと面白かったので雑にメモ。

選択肢は 1000, 5000, 10000円と3つもあるのに、得られる回答は「はい」か「いいえ」の2種類しかないわけだから、普通に考えれば金額を当てる事はできない。 それをどう逆手に取るか?

当てずっぽうや「面接官をぶん殴ってお札を奪う」といったギャグ解答を除くと、取りうる方向として出てきたのは以下の2つ。

  1. はい、いいえを1度ずつとは言ってない点を利用する
    • 1000円なら1 回、5000円なら2回、10000円なら3回「はい」と言ってください
  2. はい、いいえ以外の選択を無理やりさせる
    • 1000円なら「はい」、5000円なら「いいえ」、10000円なら沈黙してください

1 は「『はい』か『いいえ』でしか答えない」という条件を「回答内容は『はい』か『いいえ』という単語によってのみ構成される」と解釈する案だが、 明示的に「1度ずつ」という制約がついたら使えない。 2は実際には沈黙という「はい」でも「いいえ」でもない3つ目の回答を用意してしまっているから、条件を守っているとは言い切れないように思う。 要はどちらも「得られる回答は2種類だけ」というお題には正面から取り組まず、それを迂回する策と言える。 それはそれでアリだけど、そのような迂回をせずに、2つの回答を3つの選択肢に何とかマッピングする妙案はないものだろうか。 そこで他の色々な案をぼんやり読み進めていくと、140のコメントに面白いアイデアが見つかる。

例えば一万円札ならはい千円札ならいいえと即答できるけど五千円札だとどうだったか確認しないと回答できないような質問があればいいんやな

つまりは「答えそのものではなく答えるまでの時間や挙動に着目する」というアイデアだ。 例えば1000円か10000円なら即答できるけど、5000円なら答えるのに時間がかかるような質問。 これならその回答に加え、「回答に時間がかかったかどうか」という判断材料をプラスして3つの選択肢から1つに絞る事ができうる。 ポイントは、答えが5000円の場合でも答えるまでに時間がかかりさえすれば、回答が「はい」か「いいえ」のいずれかに決まって良いという点だ。 これなら持っている金額がどれでも最終的には「はい」か「いいえ」で答えられるわけだから、 前述した他の方法のように強引に「はい」「いいえ」以外の回答を作る事にはならない。
ただこれは面接官の回答と答えとなる金額が直接結びつくわけではなく、回答内容とその時間から金額を類推するという方法だから、 回答を得られても100%金額を当てられるとは限らず、他の回答に比べると正解にたどり着く精度は低いと言える。 けれど、与えられた制約を守りつつ現実的な確率で正しい回答を得られそうなアプローチであり、面白い発想だと思った。
そこで、実際にこのアプローチを取る質問を考えてみた。次の質問はどうだろう?

「あなたの持つ金額を1000で割り、それを20乗したら、その数の桁数は15桁よりも多いですか?」

1000円なら1の20乗となり、1は何乗しても1なので「いいえ」だとすぐわかる。 10000円なら10の20乗であり、これも (数学が苦手な人出ない限り) 1の後ろに0が20個続くので桁数は21だとすぐにわかるだろう。 つまり答えは「はい」となる。しかし答えが5000円の場合はどうか。この場合は5を20乗した数の桁数を求めなければならない。 これを暗算ですぐに答えられる人は中々いないだろう (たぶん…。数学力が低いので断言できない)。 正しく回答するには実際に電卓などで計算して、桁数を数える必要があるはずだ。 ちなみに5の20乗を計算すると14桁になるので、答えは「いいえ」となる。 従って回答に窮したり、計算して桁数を数える素振りがあったりすれば、面接官は5000円を持っている可能性が高い。
特に1000円の場合はよほど数字に疎い人でない限りは「いいえ」と即答できるはずであり、 多少時間がかかったとしても回答が「はい」なら10000円に決まるから、 時間がかかった上で「いいえ」ならまず間違いなく5000円を持っていると判断して良いのではないだろうか。

とはいえ、先にも述べたようにこれはあくまで回答に至るまでの素振りから金額を推測するだけだから、これがベストな方法とはやはり言えないだろう。 面接官がこちらの質問からその意図をすぐに見破り、持っている金額に関わらず電卓でゆったりと計算して答えてくるかもしれない。 あるいはこれが対面式の面接ではなく筆記試験のような場であれば、そもそも相手の回答時間を判断材料にするという案自体が使えない (更にはそもそも面接官が正直に正しい回答をしてくれるのかという問題もあるけど、そこまで考えるとキリがない)。
ここまでどうしようもないケースではなくても、面接官があまりに数学に弱かったら、5000円以外でも電卓を使われる可能性はある。 逆に数学に強い人であれば、5の20乗程度なら累乗をいくつかに分解したり近似値を使ったりして、ほとんど時間をかけずに桁数を推測されてしまうかもしれない。
かといってこれを防ぐためにあまり大きい数の計算にすると、今度はちゃんと正しい答えを得るのが難しくなってしまう。 それでもただの計算である以上、面接官が答えられなかったところで回答は「はい」か「いいえ」に決められるはずだから、 5000円の場合はむしろ積極的に回答不能を狙う手もあるかもしれない。 つまり「答えは必ず『はい』か『いいえ』になるけど (この場ですぐには) 回答できない」というのを3つ目のメタ回答にしてしまう方法。 まあ問答の後で「では5000円の場合の正答は実際どちらなのか」と問われたら、こちらはちゃんと正しい回答を提示できた方がより良い気はするけど、 それができなくて減点というのもつまらない。

なお、この質問の出どころについては記載されていなかったので、 何か模範解答のようなものがあるのかはわからない。他にどんなアプローチがありうるのかも知りたいところ。